別居までのディスタンス~私と仕事とどっちが大事?~

今思えば、モラ夫は依存体質だった。

よく言えば、愛情深い。

どちらかというと飽きっぽい体質の私としては、結婚後のモラ夫の愛情は大変に重たかった。

外でも家でも手をつなぐ、一緒にいるときはどこかしら体が触れている、平日の飲み会は極力断って早く帰ってくる、休日はずっと一緒。

結婚が二度目で「亭主元気で留守がいい」がモットーの私としては地獄の沙汰であった。

しかし相手は齢40にして初婚、結婚生活に対する憧れもひとしおであろう、とラブラブ新婚夫婦ごっこに付き合った。

平日の夜と休日は、私と子供はぴりぴりと神経を尖らせた。モラ夫の地雷を踏まぬよう私達母子は細心の注意を払って夫と過ごした。

「やっぱり家は落ち着くなあ」とモラ夫はご満悦であったが、私達はたまったものではない。

「たまには会社の人と飲みに行ったら?」「息抜きに学生時代のお友達と飲みに行ったら?」と声をかけるものの、「家が一番落ち着くんだいっ!」と甘えた声を出すのだから絶望しかない。今思えば、モラ夫は自己愛人格障害だから友達などいなかったのかもしれない。勝手に友達だと思っていただけかもしれない。

 

家族がそれほど大事ならばちょとしたことでキレなければいいのに、自己愛人格障害のモラ夫にはそれができない。ちょっとしたことでキレて延々暴言を吐き散らす。

大したことではないではないか、と言うと、お前のようなバカには理解できないなどと言う。キレたときの夫の言い分は支離滅裂なので、聞き流しながらテレビを見ていると「テレビとオレとどっちが大事なの?」と聞く。

即答でテレビと答えたい気持ちもそうなのだが、そんな質問をする夫にドン引きだった。

そんな質問を恥ずかしげもなくするのは、愛情のない家庭に育ち、義務教育を終えてすぐ家出をした手首にリストカットの傷跡を複数持つ「死にたい」もしくは「私なんて死んだほうがいいの」が口癖の風俗嬢だけだと思っていたからだ。

まずね、私と仕事、とか、私と奥さんとか、テレビとオレ、とか、子供とオレ、とか比べるもんじゃないんですよ?

もしくは比べるまでもなく答えは出ているんですよ?

奥さんだし、テレビだし、子供なんですよ?

はっきり言って愚問なんですよ?

その答えが自分じゃないと、自分であるという自信がないからそういう質問をするのであれば、それはそれで不幸なことだとは思う。